「女が走れる距離をどうして男が決めるの?」 ヴァーサロペットは長らく女人禁制だった
2月24日(土)、ダーラナ地方のムーラ(モーラ)で、女性クロスカントリースキー大会 Tjejvasan シェイヴァーサンを見学してきました。
本家 Vasaloppet ヴァーサロペットは90キロですが、こちらはその最後の三分の一、30キロをスキーで走るレース。
私たちは観戦のあとヴァーサロペット博物館へ行きました。そこで知ったんですが、
1924年から1980年までヴァーサロペットには女性の参加が禁止されていた!
館内には1960年代に女性スキーヤーが主催者から退場を命じられている写真も展示してありました。
え、まじで? 1970年代のスウェーデンで女性差別がまかり通っていたの?!
女性優勝者一覧。1923年の次は1981年!
ヴァーサロペットの初回は1922年で、その年には女性の応募者がいなかったそうです。翌年、体育教師のマルギット・ノディーンさんが応募し、10時間かけて90キロのクロカンを完走しました。応募者161人中、唯一の女性。三人の男性が脱落したそう。
(その年の男性優勝者のタイムは6時間32分)
しかしその翌年の1924年からヴァーサロペットの主催団体は女性の参加を禁止。批判を浴びつつも1980年まで堅持。「女性には過酷なレースだから」というのが表向きの理由ですが、これマラソンのときも使われていましたね。
この間、知人男性の名義を借りて応募し、男装してレースに臨んだ女性がけっこういたようです。
インガ・メディーンさんは1976年に夫の名前を借りて出場するも女性だということがばれ、完走したのに賞状がもらえなかったそうです。
1979年には口ひげを付けた女性が男性名義で参加。スタート前にTVレポーターにインタビューされています。
レポーター「トイレへ行くのに苦労するんじゃない?」
スキーヤー「そんなことないよ。さっきも男性用に行ったし」
口ひげを付けたビルギッタ・ヴェストヘードさんは残念ながら途中で脱落。しかしホテルへのロビーで彼女を待っていたのは主催団体の会長たち。彼女はひどい叱責を受けたそう。
会長「女性には30キロしか走ってはならないというルールがある」
ビルギッタ「女が走れる距離を、どうして男が決めるんですか?」
この翌年1980年、ヴァーサロペット前の「オープンコース」(ヴァーサロペットと同じコースを走ることができる)に女性の参加が、ついに1981年、本大会ヴァーサロペットに女性の参加が認められました。