Hanes fik

スウェーデン語の語源やら、読書のことやら、あれこれと。

容疑の程度

「あの少女に対する容疑の程度を上から二番目に置くつもりよ」

〔司法上の容疑の程度は四段階あり、高いほど勾留や家宅捜査などの強制措置が取りやすくなる。最高レベルは起訴が可能。〕

「二件の殺人について検事は容疑の程度をレベル三に下げましたが、誘拐についてはレベル二のままひきつづき勾留を請求するそうです」

今回共訳したミステリの中で、検事たちがこういう発言をしている。 ウィキペディアの解説によると、「容疑の程度(Misstankegrad)」とは司法上の概念で、警察官や検察官が使用できる強制処分の根拠となる。容疑の程度は4段階ある。

原文では「最高の程度の次」とか「最低の程度の次」という表現であり、わかりにくかったので、翻訳に際しては程度の最高を「レベル1」、最低を「レベル4」と呼ぶことにした。

ウィキペディアでは、各程度の説明をしている。

レベル4 疑わしい程度 (Kan misstänkas)  この程度では何の強制処分もできない。  例:数名の人物がいる教室で財布が盗まれた。しかし、誰がやったのかはわからない。

レベル3 かなり疑わしい程度 (Skäligen misstänkt)  その人物が犯罪をおこなったという具体的、客観的な状況がある。この程度では家宅捜査などが可能。  例:財布があった場所にある人物が立っていたことが目撃されている。

レベル2 信頼に足りる理由がある容疑 (På sannolika skäl misstänkt)  目撃者や科学捜査など、客観的な証拠がある場合。  例:ある人物が財布をつかんでいるところが目撃されている。

レベル1 起訴が可能な容疑 (Tillräckliga skäl för åtal)  検事が、容疑者が裁判で有罪になると客観的に確信できる程度。  例:まさに財布を盗んでいるところを捕まった。 警察のHPの記事によると、勾留できるのはレベル2以上の容疑のようである(他にも条件あり)。

訳書の中では、検事は容疑者を勾留したかったのだが、裁判官に拒否された。容疑の程度をレベル3に下げるということは、勾留はしないが、引きつづき何らかの強制処分を使って(指紋の照合とか)捜査は続行したいということなのだろう。