Hanes fik

スウェーデン語の語源やら、読書のことやら、あれこれと。

Jakob: スウェーデンの人名

この夏、フランス南西部のボルドーやトゥールーズ周辺を旅行してきました。
あの辺りは、スペイン北部サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路にあたります。
f:id:yukarihane:20180930032321j:plain サンテミリオンの街並み。巡礼者の通過地点として栄えた。

 

トゥールーズのジャコバン修道院で説明書きを読んでいると混乱してきました。
スペイン語では Santiago(サンティアゴ)、
フランス語では Saint-Jacques(サン・ジャック)、
英語では Saint James(セイント・ジェームズ)。
これらは全部、同じ人物、聖ヤコブを指します。

スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラが巡礼地になったのは、9世紀に聖ヤコブの遺骸が見つかったからだそうで。「800年も骨が腐らなかったのか?」と夫に問うと「だから聖人なんだよ」と言われました。

英語の Jack と James は同じ意味なんですね。
Jakob から b 音が抜け落ちて Jack になり、k 音が抜け落ちて James になったのでしょう(b が m になるのはなんとなくわかる。comb の発音とか)。

しかし Santiago はナゼ? と、じーっと綴りを見てひらめきました。
Sant Iago がくっついたんだ! ヨーロッパの言語間では j と i が入れ替わることがあるから(Jan と Ian とか)。

面白いことにスペイン語で Diego(ディエゴ)もヤコブのことなんですが、これは Santiago が誤って分解(異分析)された結果だそうです。

 

ところでスウェーデンの Jakob 君、発音は「ヤーコップ」が近いと思います。
(最後の音が p か b か?と悩む人の質問と回答がこのサイトにあります。ほぼ全員が p と答えていますね)
Jakop eller Jakob?

拙訳書のモデルになってくれたのも、友人の息子さんの Jakob(ヤーコップ)君です。スウェーデン語の語源に興味のある方、雑学を仕入れたい方は、ぜひアマゾンでご購入ください。